謎の転校生
一般的に小学校入学後初めてクラス替えを経験するのは、小学３年生である。これは、その小学３年生の時の出来事である。
私の髪の毛がのびてうっとうしく思った母は、とある休日に私の髪を散髪した。散髪後の私はまるで別人のようなショートカットの女の子になっていた。太い眉毛が顔の印象を変えるようなのだ…。そして、ふと思った。新しくクラスメートとなった仲間は、私だとわかるのだろうか…？もし、この印象の変わった髪型で、しかも今まで学校に着ていったことのない服を着て（私の通っていた小学校は私服でした）登校した場合、果たして…。
次の日その作戦は実行された。丁度、新しい服を作ってもらっていたので、その服を着て登校した。そして、ターゲットを絞った。それは、今年新たにクラスメートとなったＫくんだった。女の子だと、よく顔を見ているため失敗する可能性が高い。転校生になる為には適切な選択だったと思える。そして、下駄箱でＫくんの登校を待った。
いよいよＫくんが登校した。ただ、下手に声を掛けるとそこからバレる可能性があったため、声を出すことはできなかった。そのため、Ｋくんにちょっかいを出す形となった。いきなりの攻撃のため、不快な顔をするＫくんだったが、目的達成のためにちょっかいし続ける。そして、ついに「転校生のくせになれなれしいなあ」という言葉がＫくんの口から飛び出した。その瞬間、ネタをバラした。Ｋくんの目は点になっていたことだろうが、自分の目的達成の満足感でそんなことは覚えていない。
このことにより、私の転校生になるという作戦は成功をおさめたのだった。
さてその半年後、もう一度Ｋくんに同じことを試みたがやはり無理があったようだ。
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